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島田は、独身も所帯持ちも関係ないらしい。
…なにはともあれ、助かった…
「スマイソン、丸富のヤマは大変だったな」
「ああ、なんかスッキリしない終わり方だよ…あのカマキリがブチ壊しやがった」
スマイソンが長尾の方を見る。
長尾はコップ酒をクイクイ、顔色一つ変えずに、相当早いペースで飲んでいる…。
既に5合くらいは飲んでいるようだが…大丈夫なんだろうか…。
「…あいつは、犯罪者に対してはドSだからなぁ…まぁ、過去が過去だからねぇ…無理もないんだが」
「島峰、長尾の過去知ってるのか?」
「なんだ?お前知らなかったのか?…あいつは…」
島峰の話を遮る様に、矢野が割り込んで来た。
「おい!飲んでるかぁ~!ヒッ…クッ…」
「飲ってます!」
2人は同時に返事をした。
「ヒラ!飲んでるかぁ!」
「おうよ!…なんだ?矢野…酔っ払ったのかよ?」
平岡が返事をした。
矢野と平岡は上司と部下だが、元々は同期だった。
「バカ言っちゃいけねぇよ!ヒック…よ~るはまだまだ、これからだぁ~…へへへ~」
完全に酒にのまれている…。
スマイソンと島峰は心配そうに、矢野を見ている。
「おう!ところでヒラ!ヒック…お前娘幾つになった?ヒック…」
「もう18だよ…来年高校卒業だ」
「そうか!ヒック…早いもんだなぁ~」
「お前さんの娘は高校入学だったなぁ?」
「おうよ!…なぁ、聞いてくれよヒラ…ヒック…ヨチヨチ歩きの頃は、パパ、パパってなついて、本当に…ヒック…かわいかったのによぉ…」
「…あぁ…」
「ついこの間、たまにはなんか欲しいもの一緒に買いに行こうか…ヒック…たまには、お父さんとデートしようって、娘に訊いたら…ヒック…なん、なんて言ったと思う?…ヒック…」
「…どう言ったんですか?」
島峰が訊いた。やはり、親として興味があるらしい。
「…ヒック…それがお前…なんにも要らない…ヒック…デートぉ?有り得ない…って…それよりもパパ、臭いから近寄らないでって…クーッ!」
矢野が泣き出した。
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