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真一は朝から腹の具合が良くなかった。
近所の公園に犬を散歩させるために行った時に、真一は猛烈な腹痛に襲われた。
「ヤバイ!出そう!出ちゃう!」
真一は公園の公衆トイレに駆け込んだ。
お世辞にも手入れが行き届いているとはいえないこのトイレで、用を足すのは、潔癖な真一にとって屈辱的だった。
「クソ!なんでこんなに汚いんだよ。しかも和式かよ!」
真一は和式トイレが大嫌いだった。
しかし、キリキリと痛む腹の前に、降伏せざるを得なかった。
和式トイレで不安定なポーズで用を足していると、もう一人お客が入ってきた。
この公園のトイレはやや奥まった、人気のないところにあり、実際にハッテン場としても使われることがあるという噂も実しやかにささやかれているため、真一は身構えた。
個室のドアと壁の隙間から覗くと、30代半ばくらいの中肉中背の男が、大きな麻袋を持って、小便をしているのが見えた。
「良かった。ホモの人じゃない。」
真一は安心して出ようとした。
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