4.限界

2/3
前へ
/39ページ
次へ
いよいよ3日目の朝を迎えた。 相変わらず暑い、今は夏なのか…それとも締め切ったこの部屋のせいなのか…。 すぐに汗ばんだTシャツを脱いだ。 そして、起きたと同時に例のごとく、コンクリートの壁に爪で3本目の棒を書いた。 「これが20本になった時には…。」 絶対に生き延びねばならないと心に刻んだ。 しかし、それにしても3日間何も口にしてないと、さすがに限界である。 水だけでいいから…。 そんなことを呟きながら、ふとはいているGパンのポケットに手をやると何かあるのに気付いた。 緊張しながら、手にとってみると…。 掴んだのは、リップだった。 少しの期待が脆くも崩れさった元太は再び横になった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加