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元太は、昔ピクニックに行った思い出がふと蘇った。
雲一つない青空。
太陽がさんさんと照らす陽気な日曜日。
広大な草原のある丘の上で妻の早苗が作ったお弁当を3人で食べた。
大きな木が立っていて、その木の葉と葉の間から太陽の光がもれる。
風が吹くとその木が大きく揺れ、一人息子の悠太が怖いと泣きついてきたのを鮮明に覚えている…。
…。
ふと気付くと、辛い現実がそこにはあった。
「おれはここから出ることはできるのか?」
「早苗と悠太はどうしてるんだろ?」
そんなことを考えながら、とりあえずコンクリートの壁を叩いて、叫んでみた。
「誰かいないのか??助けてくれー!!」
無情にも誰の返答もなく、ただ部屋に元太の声が響きわたった…。
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