1.独房

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元太は、昔ピクニックに行った思い出がふと蘇った。 雲一つない青空。 太陽がさんさんと照らす陽気な日曜日。 広大な草原のある丘の上で妻の早苗が作ったお弁当を3人で食べた。 大きな木が立っていて、その木の葉と葉の間から太陽の光がもれる。 風が吹くとその木が大きく揺れ、一人息子の悠太が怖いと泣きついてきたのを鮮明に覚えている…。 …。 ふと気付くと、辛い現実がそこにはあった。 「おれはここから出ることはできるのか?」 「早苗と悠太はどうしてるんだろ?」 そんなことを考えながら、とりあえずコンクリートの壁を叩いて、叫んでみた。 「誰かいないのか??助けてくれー!!」 無情にも誰の返答もなく、ただ部屋に元太の声が響きわたった…。
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