52人が本棚に入れています
本棚に追加
車に乗ると、すぐに彼がエンジンを掛け何かのスイッチを入れるとあたしの目の前のモニター、バックミラーのモニター、オーディオスペースのモニターが作動し始めた。
「うわっ…すごい…」
あたしが漏らす声にも、彼は微かな笑みを浮かべていた。
「何か聴きたいのある?好きなアーティストは?」
「音楽は気分で聴いてるから、お任せで」
「そっか、俺、洋楽ばっかりやけど…」
そう言いながら、彼はDVDの収納ケースみたいなのを出して一枚のディスクを選び、プレーヤーに入れた。
あたしは流れ出すDVDの3画面のモニターをチラチラと順番に見ながら感心した。
「すごいね~運転眩しくない?」
「最初は気になったけど今は普通やな。慣れたらなんともないよ」
「そっか」
暫く、メールの事とか他愛もない会話をしながらドライブをしていた。
会話をしていく内にあたしが彼に対して抱いていたイメージが変わっていく。
イカツイ外見なので、おそらく中身も極端に言うならミナミの帝王に近いイメージを持っていた。
だが実際会って話すと温厚な印象を受け、あたしは新たに彼のイメージを作り直したのだった。
そのギャップもいいし、彼が作り出すこの独特な雰囲気にあたしはもう酔い始めていた。
最初のコメントを投稿しよう!