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「みきから聞いたんだけど、あたしの事知ってるかもって…」 あたしは会話が途切れた所で聞いてみた。 「それな、○号線走ってる時に俺の方見てるような気がして…何度かすれ違ってたやん?それから意識して俺も見るようになって。車種聞いて間違いないって思った」 淡々と答える彼を見てあたしも気になっていた事を聞く事にした。 「あははは~…あの時、ばっちり目を合わせてくれたよね?」 「そうやな…」 微笑を浮かべてすぐに肯定の返事が返ってきたので、あたしはどぎまぎした。 何て返そうか考えていると… 「あの時は俺の車を見てたん?」 彼が尋ねてきた。 あたしはすっかり酔った気分のまま言おうか迷ったが、言う事にした。 「両方かな…」 「それは俺もってこと?」 「…うん」 「ありがとう」 それは迷惑ではないという意味だろうか…。 彼もあたしと同じ気持ちなの? 結局、その日はドライブだけして家の前まで送ってもらった。 これといって何かしたわけでもないのに、今日、彼と一緒に過ごせた時間が夢のように思えた。 それはある場所ですれ違うだけの名前も何も知らなかった人と知り合えた奇跡というのも大きくあったかもしれないが、そんな相手とデートまでした事がなんだかすごい事のように思えて、あたしは彼に運命というものを生まれて初めて感じさせられたのだった。
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