52人が本棚に入れています
本棚に追加
こうちゃんと別れた後、別の店でコーヒーワゴンのバイトを始めた。
前の店だとこうちゃんもよく来るので、会うと気まずいからという理由だった。
新しい店にいたワゴンの女の子が偶然にも車好きな子で、歴代の彼氏はほとんどVIP乗りだと聞き、詳しそうだったので、ふと彼の事を思い出し口にした。
「○号線でたまにすれ違う白の33シーマなんだけど~めっちゃかっこよくてさ~いつも見惚れちゃうの~」
「白の33って、もしかしてモニター5つくらいついてない?」
「5つかはわからないけど、明るい時もあるしついてると思う」
「多分、西田さんやと思うよ。彼、有名やしね~」
「えっ?みき、知り合いなの?」
「前イベントで喋った時に名前聞いたの~」
「そうなんだ~いいな~」
「乗ってる人もかっこいいよ~イカついけどね」
「うん、知ってる。かっこいいよね~」
その後、話は盛り上がり、みきに色々と話した。
たまにすれ違う事や、前は窓を開けてくれその時に目が合った時の事を。
みきは面白そうな表情を浮かべ、あたしの知ってる西田さんで間違いないか確かめると言って、あたしの話を聞いた後、すぐに電話を掛けたのだった。
隣でみきが話しているのを聞きながら、時折「まじでー!」と発するみきの声にあたしは期待で胸を躍らせた。
電話を切った後、みきに話を聞くと、あたしの車種と色を言ったら「なんとなく知ってるかも」と言っていたらしい。
それを聞いて、みきの知ってる西田さんとあたしの言ってる彼が同一人物だと確信しそのまま飛び跳ねたい気持ちに駆られた。
彼と有り得なかった、考えもしなかった接点ができたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!