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「まさか、リュウが麻薬やってたなんてな…」
次の日、新聞やテレビのワイドショーではバンド『M』の話題で持ちきりだった。
どこのチャンネルをつけても『M』ばかりで、スポーツ番組でも『M』の特集を組むほどだった。
『M』の素顔は全くといっていいほど、各局もつかんではいなかった。
出場していたテレビ局でさえ、彼らの素顔は放送していなかった。
その後、リュウは運ばれた病院で息を引き取った。
死因は、麻薬中毒によるものだった。
告別式では参列者が後を絶たない。
それもテレビ中継で放送されていた。
初めてリュウの素顔が見れた。
告別式の後、『M』 からFAXで今回の騒動について謝罪が送られてきた。
リュウはバンドが売れ始めたくらいから麻薬に手を出していたよう。
それが病みつきになってしまい、死の直前まで続けていたこと。
リュウの自宅から大量の麻薬が警察によって発見されたらしい。
メンバーで飲みに行くとよく、
「俺にはもう才能なんてない。このまま『M』のボーカルでいいんだろうか…」
とこぼしていたそうだ。
警察はそこから麻薬に走ったのではないか、と断定した。
メンバーのショックも計り知れない。
『M』はしばらく活動を休止した。
やはりショックが大きかったのだろう。
しかし、『M』たちはショックからすでに立ち直っていたのだ。
新たなボーカルを捜すために活動を休止した、という方が正解だったらしい。
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