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すると先程まで瞳に涙を浮かべていた少年はその言葉を聞き、静かにうつ向いた。
窓から覗く大粒の雨がより一層激しさを増して行く。
「カ…ル………か?」
「えっ?」
礼儀正しく座った少年の、机だけを見つめるうつ向いた口から発なたれた僅かな言葉。
震えるように呟くその少年をじっと見つめる女性刑事。
すると少年は突然顔を上げ、女性刑事に向かって叫ぶ
「貴方に分かるんですか!?突然大切な人を失った僕の気持ちが!!」
座っていた椅子から勢いよく立ち上がり、問答を繰り返すその机を力一杯に蹴りあげる少年。
「いい加減な言葉で、同情を引くような真似するな!僕だけじゃない!アイツの気持ちも分かって言ってるんですか?それでも貴方達国は、あのガキ達を守るんでしょ!?」
少年の目に映るのは完全に敵と化した女性刑事と、優しい心を持つ……
少年が産まれて初めて愛した思い出の少女のみ。
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