青いベンチ~いつかの情景~

7/8
前へ
/30ページ
次へ
呼吸をするのも辛いくらい強引に押さえつけられた、そんな少年の目に浮かんで消えない、優しい笑顔を少年に向ける少女の姿と、首を吊ったその少女の変わり果てた無惨な姿……。 例えどんなに願っても、決して帰って来ないあの優しい笑顔。 少年の瞳から再び涙が溢れ始めた。 「よく分かりました。貴方達、国のやり方が。ならば僕がこの国を変えてやる!」 (僕が……、もう帰って来ないアイツのためにも。この僕の力で、この腐った国を根本から建て直してやる) なおも暴れ叫び続ける少年に、女性刑事も堪らず叫ぶ…… 「お願いだからやめなさい!佐久間君!」 鉄格子のある窓の向こうは、土砂降りの雨だった……。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

111人が本棚に入れています
本棚に追加