第一章 アークトロント学園

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 そいつは見事に俺の想像通りのことをしてくれた。  俺を後ろから追っていたヘルハウンドが、踏み台にしたヘルハウンドと激突しかけ、たたらを踏んだ。  その隙に、俺は着地してから《アザゼル》を腰のホルスターにもどし、ロングコートの下に隠れた胸部のホルスターから、一対の折り畳み式サブマシンガン――全体が深紅に染まった《イフリート》を取り出す。  《イフリート》が咆哮をあげたのは、ヘルハウンドがこちらに向き直った直後だった。  ふたつの銃口から無数の銃弾が撃ち出され、一匹のヘルハウンドへと吸い込まれるように飛んでいく。  空になった薬莢は、射撃の反動に耐えるため踏ん張っている足の傍らにばらまかれる。  けど、ひとつ失敗した。仕留めたヘルハウンドが蜂の巣状態で食べる箇所がない。  はぁ、親父にどやされるだろうなぁ。  少し憂鬱になりながらも、俺は原型を留めていない肉塊を一瞥してから、弾を吐き尽くし硝煙を上げる《イフリート》をふたつ同時に折り畳み、胸部のホルスターへと戻した。  そして次の得物のショットガン――俺の身の丈より少し短く漆黒の銃身をもつ《ベリアル》を、胸部のホルスターの後ろから引き抜く。  このショットガンは少し細工を施してあり、銃弾に一定の強い衝撃を加えないと散弾しない。  俺はそんな《ベリアル》を最後の一匹に向けた。  生き残りのヘルハウンドは俺から目を離さず、じりじりと後ずさる。  さすがに一人――いや、一匹では勝ち目がないとわかるらしい。
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