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「……少ない」
寡黙な親父の一言ほど威圧感のあるものはない。
四部屋に分けられた一階建ての一室――弓や斧等が壁に掛けられた倉庫で、縄で足を縛られ繋がれた三匹のヘルハウンドを見た親父は、無表情に言い捨てた。
親父は伸ばし放題にしている白髪に、双眸が隠れそうになるほど長い眉。口と顎を覆う白く長い髭を持つ老人だ。年齢はもう六十後半になる。
もとは古い狩人だったため、狩りにはうるさい。俺が銃を使って狩りをしているのも気に入らないらしい。
だが、俺は斧や弓の扱いに長けていないため、この森から近い機械都市で銃に関する用事を済ませている。
「これだから銃は使えない」
「う……」
それを言われると耳が痛い。
実際、俺が使う銃は猟銃ではないため、狩りではなく自衛に使うことが目的の武器だ。
親父が言っていることは正しい。
「でも銃は銃でいいところが――」
「天井の穴」
「ぐ……」
銃のメンテナンスは自室でやっている。その時に一度が暴発し、天井に穴を開けてしまった。俺の部屋だからそこまで怒られなかったが、未だに根に持っているらしい。
これ以上銃について語るのはやめておいたほうがいいか。
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