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ザワザワザワ……
真っ暗な体育館は大量の人で溢れており、皆が一体何が始まるのかとざわついていた。
すると、
【ヘーイ皆さん!こんちわーっす!急きょ東京より帰還した飯塚一郎だぜ☆覚えてるかい皆ー!】
急にライトアップされた体育館のステージには、マイクを片手に派手な衣装に身を包んだ、次郎の兄の一郎の姿があった。
「あっ、兄貴!?何してんだよ!?」
体育館に溢れる人波の中にいた次郎が、即座にそう大声を上げた。
【よくぞ聞いてくれたな我が弟よ!実は誰かがここに集まっている皆を対象に『人気投票』とやらを開催したらしいんだ。そんで集計結果が出たから、俺が発表の司会をしに来た訳だ!】
「……で、何で兄貴が司会なんだよ?」
【……それはな、俺が無投票だったから、司会役でも結果発表に支障がないからだ】
そう言った一郎の目から、キラリと光る何かが一粒流れ落ちた。
【さぁさぁさぁ!気を取り直して集計結果の発表だ!ちゃんと仕事しないとギャラ貰えないからな!それではまずは第10位!】
一郎が無理矢理なハイテンションでそう言うと、体育館内にドラムロールの音が響き、やがてスポットライトが1人の人物の姿を照らした。
【第10位!伊集院天馬!19票!】
天馬の名が呼ばれた瞬間、拍手の音がが体育館中を包んだ。
「えーっと………ちょっといいですか一郎先生。僕が10位ですか?」
【そうだ!よかったな!】
「この僕が10位だなんて……きっと投票対象に女性が少なかったに違いありません。きっとそうだ……」
ブツブツと自己暗示をしだした天馬をほったらかし、一郎はすぐさま次の発表に移った。
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