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【えー……それでは気を取り直して第2位!】
一郎がそう言うと、さっきより多くのスポットライトが体育館中をランダムに動き回り、やがて1人の男に全てのスポットライトが集まった。
【第2位は我が弟!飯塚次郎!79票!】
「マジでか兄貴!?ヒャッホー!」
発表を聞くや否や、次郎は跳び跳ねて喜んだ。
「よかったな次郎!ハハハ!」
「凄いね次郎君♪」
「次郎が79票で、ウチは3票……」
「何故次郎が……納得いきません」
一同は口々に感想を漏らしたが、どうやら次郎には聞こえていないらしく、未だに跳び跳ねて喜んでいた。
【次郎!何か一言言うか?】
「あったり前だぜ兄貴!」
そう言うなり、次郎は軽やかにステージへと上った。
【えー皆さん!俺のこの2位という結果は、日頃の行いの良さを神様が見てくれてたからだと思う!今こうしてここに立てたのも何かの縁だ!俺はこの場で告白したいと思う!】
次郎がマイク越しに言ったその発言で、生徒達は一気にヒートアップした。
【告白する相手は言うまでもねぇ!勿論キミだよ!我が愛しの澪ちゃん!!】
次郎がビシッと澪に指を指しながらそう言うと、全生徒の視線が一気に澪へと集まった。
澪はしばらく無表情で黙り込んでいたが、視線に耐えかねた澪は驚く事に次郎に向けてグッと親指を立てた。
【えっ!?まっ、ままままままさかOK!?】
まさかOKを貰えるとは思っていなかった次郎は、動揺しながらも次第に顔がニヤけていった。
だが、次郎が喜んだのも束の間、澪は立てていた親指をクイッと下に向けた。
そして、
「地獄に堕ちろ」
澪は無表情で冷たく次郎にそう言い放った。
ぬか喜びだとわかった次郎は、その場で魂が抜けたようにヘナヘナと倒れ、そのまま白い砂になってサラサラと風に流れていった。
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