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忘れ物
あるところに忘れ物ばかりする男の子がいました。
教科書、笛、鉛筆箱… いつもなにかしら忘れ物をするので、毎日教師に怒られていました。
元々、人より少し鈍かったその子は、やがて教師を含め、クラス全体からイジメを受けてしまうようになってしまいました。
ある日、また忘れ物をしてしまった男の子に、教師は、バカにするような感じでこういいました。『お前は、何度言っても分からない、ダメな奴だな~!このノートに忘れた物を書け。これは、お前の忘れ物帳だ。
そうすればもう忘れる事もないだろう。』
『○月○日、忘れ物・三角定規』
男の子が書きえると、教師は、男の子を思い切りなぐりました。
『今度から忘れ物をする度に一発殴るからな! ここまでやらないとお前は、分からないからな!』
それでも、男の子は、忘れ物をし続け、教師からの暴力もエスカレートしていきました。
忘れ物帳も残す所あと、1ページとなった○月×日の事でした。
その日も教室で殴る蹴るの暴行を受けていた男の子は、耐えきれなくなり忘れ物帳を握りしめ、教室を飛び出しました。
学校の近くには、踏切があり男の子は、そのまま踏切に突っ込み電車に跳ねられて死んでしまいました。
男の子の体は、バラバラに飛び散りいくら探しても頭部と忘れ物帳だけが見つからなかったそうです。
結局男の子は、事故死として処理され、頭とノートもみつらないまま何日か経った頃でした。
男の子の担任だった教師は、微笑んでました。『何も自殺しなくたっていいのに、本当にバカな奴だな。 まあ俺があいつのカバンから毎日荷物を抜き取ってわざと忘れ物させて、体罰を与えていたなんて誰にもバレないし、あいつは、あのまま単なる事故死って事になったし…。
何もなかったようなもんだけどな』
事実は、こうでした。
男の子は、忘れ物なんてしていなかったのです。
うさ晴らしをしたかった教師によって仕組まれた事だったのです。
それからまた何日か過ぎたある日、その教師の机の上にボロボロの一冊のノートが置いてありました。
不審に思い見てみると、それは、いくら探してもみつからなかった男の子の忘れ物帳でした。
気味悪く感じながらパラパラめくってみると、一番最後のページだけ何かでぴったりとくっついていて、見ることができませんでした。
教師は、どうしても気になりペーパーナイフ押しいれてみました。
ザザザッ…ザッ…ザリッッ
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