猿夜叉丸

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清綱は先刻の笑みを頬に残したまますぐに評定所へ向かった。 評定所は物々しい雰囲気に包まれていて、中からは文武百官それぞれが持論を展開していた。 清綱が評定所を出る前は戦争派と人質派が半分くらいだったが、清綱の家臣によればほとんどが戦争派に傾いているようだ。 しかし清綱には論を覆す自信があった。猿夜叉丸の言葉や想いは必ずこの者達に通じると信じていた。 評定所の扉を開けた。 今までさんざん議論していた文武百官の視線が一斉に清綱に集まった。 筆頭家老の清綱は上座へ向かう。 ぴんと張りつめた空気。 清綱が上座に座りしばし沈黙の後磯野員昌が口を開いた。 「清綱殿、こちらにいる者のほとんどが六角と一戦を交えんと考えております。清綱殿はどうお考えか?」 猿夜叉丸の祖父浅井亮政から仕えてきた清綱の言葉はとても重みがある。 皆、清綱の次の言葉を待った。
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