プロローグ

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  神は彼らをエジプトから導き出された、その勇敢さは一角獣のようだ--「民数記」第23章22節   一角獣はあなたに仕え、あなたの飼い葉桶の側に留まるだろうか。   あなたは一角獣に手綱をつけて、畝を作らせる事が出来るだろうか。 或いは、あなたに従って谷を耕すだろうか。 それが強いからと言って、あなたはこれに頼むだろうか。 またあなたの為に働かせるのか。 あなたはこれに頼って、あなたの穀物を打ち場に運び帰らせるだろうか--「ヨブ記」39章9-12節       一角獣。 その角は解毒薬になり、無毒化作用があると言われる。 とある聖書では、神聖な力、純潔の象徴とされている。   一方では、獰猛で凶暴。 天に向かって伸びた螺旋状の鋭い角で、相手を刺し殺し。 生贄として捧げられた処女をその角で犯し、そのまま角で刺し殺し、喰らうという。   その真名、一角獣。 またの名をモノケロス。 またの名をユニコーン。     この獰猛で凶悪とされる獣が、人の姿に化けて人間の中に紛れ込んでいる。   と、突然知らずの女性に告げられれば、まず疑うのが普通であろう。   一角獣の存在は、伝説であり言い伝えであり、人間が作り出した架空の生き物であると思っていたから。     だが知らずの女性は、口々に人々にこう告げた。   「かの知能高き一角獣でさえ、完全に人に化ける事は不可能。 誇れる象徴、螺旋の角は隠せても、尾は隠すに及ばず。 美しい女の姿に化け、馬鹿な男を刺し殺し。 紳士な男の姿に化け、愚かな女を刺し殺すでしょう」          
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