スケッチ

ギスギス女と野獣

「起立！礼！」
日直が声を張り上げる。
「おはようございます！」全員が声を揃えていうと、
教壇に立っている女性教師が「おはようございます」と落ち着いた声で言う。
「着席！」の日直の声に生徒全員が着席すると担任の女性教師の霧島冴子は出席を取り始めた。
「阿部君、一条君、上野さん…」
明は出席番号では何時も最初のほうに呼ばれるので返事をし終わるとすぐに用意してたノートに担任の霧島先生のスケッチを密かに始めた。
明の席は教壇から縦に視てちょうど真ん中あたりだった。
（う～ん出席を取っている時はやっぱり描きにくいな）
明はかなり集中していたが霧島先生の顔が出席簿を読み上げる度にわずかに上下に動くので上手くいかなかった。
（綺麗に描くからじっとしててよ～）
と心の中で呟きながら明が霧島先生の顔を描き終わるのと、朝のＨＲ（ホームルーム）が終わるのはほとんど同時だった。
次は筋肉馬鹿か～
明はそう考えると首を傾げた。どうやってスケッチしよう？！