【夢幻―ムゲン―】

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季節は春 人が足を踏み入れる事もない五行山では、早くも桜が散り始める その姿を見る者は唯一人 500年も封印されている『孫悟空』という大罪人…… 夜の闇に溶け込むように散っていく桜を、ただ見つめるだけで動こうとはしない いつものように時間を潰すための眠りにつき、飽きたら身を起こして過ごしていくしかないからだ 「――…寝よう」 冷たい大地に横たわり、悟空は目を綴じる (…俺はなんでここにいるの?) 体が睡眠を受け入れてくれるまでの悟空の子守唄は、自分の過去への質問ばかりだった―――― .
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