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なんだかんだ言っても金蝉は子供に弱い
結局は二人で手を繋いで桜並木を歩くこととなった
「桜って綺麗だよなー」
「立ち止まるな。止まるなら手を離せ」
「やだっ」
ぎゅっとしがみついてくる子供に呆れながら好きなようにさせ、視線を前に戻す
前方に手頃な休憩場所を発見し、既に疲れていた金蝉はそこに行くため子供の手を軽く引っ張った
「あそこで休憩するぞ」
「うん、わかった!」
金蝉と子供は桜並木から少し離れた場所を目指す
大樹とも伺える立派な桜の木の下に到着すると、金蝉はどかりと腰を降ろした
さわさわと頬を撫でる風が二人を温かく包み込み、桜を乗せてゆっくりと降り注ぐ
ちょうど子供の手の平に落ちた花びらを子供は嬉々として金蝉に見せた
「見てよ金蝉、上から落ちてきた!」
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