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満霞(みつか)は湖を眺めていた。
湖と言ってもただの湖ではない。
そこには現代ともいえるべき地上の世界が広がっている。
「気になるか?」
そう優しくささやく声は低くもなく、高くもない。
振り向くと、儷(らい)が静かに立っていた。
「気になるわ。私の友人達の子孫が生活している世界なんだもの」
満霞が口を尖らせて言う。
儷はそうかと微笑んで湖を覗き込んだ。
そこには確かに人が映っている。
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