プロローグ

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この世界、つまりは龍神の住む天界に来た当初、満霞は湖に自分の知人を映しては泣いていた。 それを知っていても見てみぬふりをしていたのは周知の事実だ。 儷の世話役の藍(らん)がそれを見て不満そうに口を出してきていたのを思い出す。 『王子が満霞様をこちらに導いておいて何ですか、その態度は!もっと満霞様を気遣って差し上げてください。』 そうはっきりと言った時の強い眼差しが未だに儷の心を縛っている。 「満霞の気が済むまで好きにさせてやってくれ」 そう言うと、まだ何か言いたそうに口を開いたが、最終的には『分かりました』と言って儷の前を辞した。 もう満霞がこの世界に来て100年。 時代は代わっていく。
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