序章

2/3
59人が本棚に入れています
本棚に追加
/74ページ
 平積みされたその本に、誰もがこぞって手を伸ばす。争うように買い上げられて行く本は、山程積まれていたというのに瞬く間になくなってしまった。 「柚木雪夜先生の新作はただいま完売いたしました~。次の入荷は未定でございま~す」  店員が売り切れを告げると、買えなかった客は別の書店へと向かって出て行った。 「手に入ったよ~柚木雪夜の新作!発売日に買えたの初めて!」  やっとの思いで買えた少女が携帯で友人と思わしき相手に喜びを告げている。  彼女は大切そうに本を抱えて、書店をあとにした。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!