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不意に男が大きな声をだした。
「なんだ!?どうした!?」
「行雲流水…流水…うすい…碓氷探偵事務所でどうスかね?」
「うすい…笛吹?薄井?」
「いや、碓氷ッス」
実にわかりにくい会話である。
お隣さんは碓氷峠の碓氷と言われてようやく理解した。
「本名使えばいいじゃねえかい」
「探偵が逆に調べ上げられるってことも少なくないスから」
「ま、好きにやんな。碓氷さん」
お隣さんがちょっと呆れ顔で仕事に行った。
「頑張って下さいッス」
仕事人は早朝6時すぎに家を出なければならないほどの郊外にあるこの町。
繁盛するとすれば、手段は口コミぐらいのものだろう。
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