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「清蘭女子高等学校が創立して150年余り経つが、T大、K大から推薦状が来るのは初めてじゃ。更に、オリンピック強化協会からも推薦状が来るなんて……我が校始まって以来の快挙じゃ」
クラスの殆どの生徒が飛鳥を見る。
勿論、早紀と千穂も。
飛鳥は肘を机に乗せ、空を見ていた。
「渡辺!!聞いてたか?」
飛鳥は気だるそうに前を向く。
「先生。推薦の話…全部断って下さい」
日頃、副担任をハゲ先としか呼ばない。
そんな飛鳥が『先生』と呼んだ。
飛鳥は副担任をからかっているのではない。
本気だとクラスは感じ取った。
一方、副担任はポカンとして、開いた口が塞がっていない。
「わ…渡辺……。儂は耳が聞こえなくなったみたいじゃ。もう一回、言ってくれ」
「だ・か・ら、私、オリンピックに行く気は全くないし、T大やK大に行く気もないんで、推薦の話、全部断って下さい」
笑顔で言う飛鳥。
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