もう一度だけ…

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今年も冬には雪が降る。 俺が産まれてずっと生きてきたこの土地にさえも。 俺はとおる。 よくもう少し目元をぱっちりしたら似てる有名人がいっぱい現れるだろうとダチから言われ続けてきた。 身長も体格も普通。 なにが俺に生きる力を与えるのかは、自分にもわからない。 この土地はどこか冷たさが眠る。 俺の家の近くの商店街でさえ活気と笑い声に溢れたあとには各々家族に、誰それの陰口を言う。 俺の家も例外ではない。 さっきまで仲良く電話で話していたお袋が、電話を切った途端、 相手のここがあーだこーだと愚痴る。 そんな街だから子供たちも平気で愚痴や嘘をつく。 何回裏切られてきたか……。 こんな街が… 昔は嫌で嫌で仕方なかった。 人はこんなにも… 信じられないものか……と。 今は慣れてしまった。 ただ、 人なんて…… という思いだけ残して。
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