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ヒヤッ、
ただ立ち止まって商店街へ向かう人たちを商店街から真っ直ぐ行ったら着く駅から眺めていた。
今、頬に触れたのは
「ーー冷たっ」
思わず口に出してしまう程の冷たさの雪だった。
実際はそれほど冷たくはなかったはずだが……ただ、言葉を発しないと何かが俺を奪ってしまいそうで……
ーーーと、ちょうどその時、ここだよ。と言わんばかりに目に付くものが視界の中に飛び込んできた。
そのヒトは青い……それは目に留めてといわんばかりの目立つ青いコートを着ていた。
俺が心を奪われて動けない場所からほんの数mしか離れていない。
喉がカラカラになる。
全ての人が早く霞んで見える。
そのヒトと俺をのぞいては…。
体が鉛を飲んだように重く、動くことを拒否している。
ーーーこの、奪われてしまいそうな心と裏腹に。
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