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しばらくジタバタと兼続に対してグチグチ言っていたかすがに対し、不意にポツリと幸村が言葉を漏らした
かすがは、何となく幸村の言いたい事を理解したのか、少し動揺した様子で
「あの男、貴方に何か言ったの?」
確かに自分も、あまりの憎さに酷い事をした覚えはあるが
だからって、こんな何も知らないような顔した子に、された事全てを話すなんて
ぶつぶつ文句を言うかすがに、幸村は首を左右に振った
「兼続さまは何も。ただ、寝言で忍びの事をおっしゃっていらしたので‥」
兼続さまは私に決して何も教えて下さりはしません
私は、兼続さまのお力になりたいのに
幸村があまりに悲しげに言うから、かすがは柔らかくほほ笑み、その頭を撫でてやって
自分と重なった
自分も、謙信の力になりたくてここまで頑張った
けれど、謙信は重要な任務は絶対自分には任せてくれないで、必ず兼続に任せていて
それが凄く悔しくて
悲しくて
兼続を憎むなんて、お門違いもいいトコロだけど、そうするしか自分を納得させられなかった
「私が‥もっと凄い忍びなら謙信様も認めて下さるのにね…」
兼続に嫉妬する程度では、まだまだ甘いわね
そう自嘲的な笑みを浮かべ、かすがは幸村の頭を撫でて
しかし幸村は小さく首を振った
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