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「おお、旅人のねーちゃん!!なんとか渡せたみたいだな」
ゆいはキョトンとしていた。
「えっ、なんで渡したか分かるんですか??」
「そりゃあ、この話のせっ……いや、なんでもない。俺ぐらいの商人になれば顔の表情で分かるもんさ。ハハハ…」
「……??そうなんですか?!凄いですね」
『……単純』
ブラッドがぼそっと呟いたのは誰にも聞こえない。
「……そうだ!!依頼をこなしてくれた旅人のねーちゃんにはコレをやるよ」
バーリはそう言ってゆいに真ん中に穴のあいたブレスレットを手渡す。
「……これは?」
ゆいは手渡されたブレスレットをまじまじと見る。
「それは、ついこの間海上で商売していた時に手に入れたものでね。その穴の中に特定の石が入るらしいんだが……実際のところは俺にも分からねぇ。こんなもんで良かったら貰ってくれや」
とりあえず、ゆいは腕にブレスレットをはめてみることにした。特に変わったことは起きそうにない。
「ありがとうございます。じゃあ、私はこれで」
「はいよ。こっちこそ用事使わして悪かったな」
ゆいは深々とお辞儀をして、とりあえずその場を去った。
そして―――――夜。
ゆいはバーリの商場を再度訪れ、デカくなった歪みに足を踏み入れた。
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