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黒のTシャツを着た青年は、そわそわと空間内を歩き回っていた。
「ゆいは一体どこへ消えたんだ……?」
しばらくすると、空間の隅が揺らぎだす。誰かが歪みを通ってきたのだろう。
「……よいしょっと。やっと戻ってこれたよ」
戻って来たのは銀のローブを身にまとった少女である。
「……ゆい!!」
青年はゆいの姿を見るや否や駆け寄る。
「ゆい……。お前いきなり消えたから心配したんだぞ?!」
「あっ、時空神~。私もいきなり変な所へ連れてかれたからビックリしちゃった(テヘ☆」
いつもと変わらない様子だったので、安心するように肩の力を抜く時空神。
「聞いてよ~時空神。私、ノアール伯爵ってやつに連れてかれたんだけど、そこで…」
ゆいは時空神に魔緒との結婚を無理やりさせられた事を話した。
「……ゆい。お前が連れてかれる瞬間誰もいなかったぜ?むしろ突然消えた感じ」
「えっ、じゃあアイツは何者?!!……話を戻すけど、結婚式が成立した瞬間に壇の上に黒いハートっぽいのが出てきたんだよ」
時空神は黒いハートと聞いて顔をしかめる。
「厄介だな。たぶんそれは決して結ばれる事のない者が生み出す‘混沌のラヴハート’という代物だ……使い方を過ちゃあ全ての空間が消し飛んじまうんだ」
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