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「いよいよですね、白井さん」
不意に、隣にいた栞ちゃんが話しかけてくる。
夕姫が舞台上にいるから手持ち無沙汰なんだろうか。
「そうだな。まあ俺はどこまでいけるか分からんが……」
「私も、結果なんて気にしてませんよ。たとえ私に投票してくれた人が一人しかいなくても、私がこの作品にいた意味はあると思いますし……」
「その通りや!」
会話を楽しむ俺たちを押しのけて入ってきたのは、刑務所にいるはずの服部だった。
「お、お前、なんでこんなところに……」
「この結果を見るために保釈金払って出てきたんや! ワイのヒンヌー教に入りたいっていう読者もおるかもしれんしな、ほんっばにもう!」
保釈金……?
怪しすぎる……。
ま、まあいい。
とにかく今は結果発表だ。
「さて、それでは人気投票結果を発表します!」
二宮の声に、皆から歓声があがる。
そしてついに、その口から待ち望んだ結果が発表された。
「ではまず、そこそこ出てたのに0票だった可哀相な人を発表します! 0票、丸尾栞ちゃん! 服部英二! 細井! 太田! 四谷先輩! 以上です!」
まじかあああああ!
慌てて振り向けば、栞ちゃんはまるで生気を失ったかのように呆然と立ち尽くしている。
うわあ……これはショックだ……!
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