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まさに呆然とはこのことを言う。
なぜこんな時間に、こんなところに女の子がいるんだろうか。
彼女は可愛らしい印象はあるものの、高校生には見えない。二十歳は過ぎているだろう。
肩に付くか付かないかのサラサラの髪が、肌寒さすら感じる夜風に揺れてキラキラしている。透けるような白い肌よりも、さらに白いワンピースからは綺麗な足がスラリと伸びて、ノースリーブから華奢な肩がのぞいている。
ん?
……ノースリーブ!?
さすがにまだ気が早いんじゃなかろうか。
俺、コート着てるんだけど……。
何だか目眩がしきたぞ。
「あの~……」
彼女と視線がぶつかる。そんな彼女の声にジロジロと観察していたことに、やっとそこで俺は気が付いた。
いや、でもこの場合仕方ない気もするぞ。
だってさ。
ここ、川原なわけで。
「すいません~?」
夜中なわけで。
寒いわけで……。
──なんで?
って思うのが自然なんじゃないかと思うわけで。
彼女は口に手を当てて、5メートルほど離れた桜木の下でこちらに向かって叫んでいる。
なんだか、どっと疲れた気分だ。深く考えるなということなんだろうか……。
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