2・青い目の移すもの

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「ねぇってば~!」 「……はい?」 「その子、それ以上こっちに来てくれないんだけど、こっちに連れてきてくれない?」 俺は彼女から2メートルほど離れたところに、ちょこんと座り込んだ白い子猫を見た。子猫はフニフニと尻尾を動かしながら、彼女を見上げている。 俺の視線を感じ取ったのだろうか、子猫はこちらを振り返った。 俺は堤防を降りて、猫にゆっくり近づいた。青い瞳がこちらをじっと見つめ返している。 逃げる気配はなさそうだ。 「おまえ、あの子と知り合いか? 呼んでるぞ」 なんとなく猫に話かけてしまった。 子猫は静かに俺を見つめ返した。そして、すっと俺から視線をそらし、足音も立てずに彼女の方へ歩きだした。  「って……おい、今の言葉理解したのかよ!」  思わずつっこみながら、猫を目で追った。その猫の姿を見て、彼女はしゃがみこんで「きゃ~おいでおいで~!」とはしゃいでいる。 なんとなく俺もその猫の後をついて歩いた。   「君の猫……のわけないか」 「え? お兄さんの猫じゃないの? 今一緒に来たじゃない」 彼女は満面の笑みで子猫を抱き上げた。
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