2・青い目の移すもの

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「もぉ、さっきから呼んでるのに全然こないんだもん。でも、かわいい~!」 そして、こちらに猫の顔を見せる彼女。 「ほら、かわいい。ね?」  同意を求められて、言葉につまる。 「……そうだね」 猫よりも、その彼女の笑顔のほうが気になってしまったからだ。 特別に美人だったり、好みの顔というわけではないのに、素直に“綺麗だ”と思った。 しかし、それを顔に出さないようにして、俺はさっきから疑問に思っていたことを口に出してみる。 「ところで……ここで君は何をしてるんだい?」 彼女はきょとんとした顔でこちらを見た。 「何も?」    
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