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「あの頃は良かったのに…」
美砂の瞳にはいつの間にか涙がたまっていて頬を伝って涙が流れ落ちていった。
「…ノート買わなくちゃ…」
泣きつぶれた声で独り言を言った。
家に入った美砂。
「おかえり~学校どうだった?」
台所からお母さんの声が聞こえた。美砂は無視して自分の部屋のドアをそっと開けた。
ランドセルを置き、机の中から財布を取り出した。その時、美砂と佳菜が一緒に写っている写真を見つけた。すると美砂は何を思ったのか無我夢中でハサミを取り出し、いきなり写真を切りだした。ビリビリに破れた写真は原型がとどめられないほどだった…そしてあっさりゴミ箱に捨てた。
買うノートは算数ノート。
「算数ノートは…27行か…」
美砂は何もなかったかのように外へ出て、自転車に乗った。
商店街に着いた。いつも文房具を買っているお店には猫のミーがいる。ドアを開けた。いつものミーとは違う感じがした美砂。そう、いつもは鈴だったミーの首輪がリボンに変わっている。
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