僕とパンドロの箱～零～

～清美～

－マズイ事になった、竜が病院を抜け出した。伊藤の姿も無い、恐らく奴らの手中に落ちたと思われる。俺は今から空港へ向かう、俺とした事が…すまない。－

イカロスからのメールを閉じるとマーメイドは深いため息をついて返信した。

－仕方ないよ。そんなにあの子に会いたいなんて…恋は盲目とはよく言ったもんだ…とにかくこちらは成田と羽田に向かうからそっちは一刻も早く竜の所在を見つけてね。－

返信後、マーメイドはすぐに貴史に電話をかけた…

『またお前か？何だよこんな夜中に…』

貴史は眠そうな声でマーメイドからの電話を受ける…

『こんな夜中にゴメンね。白石 清美が病院を抜け出した。
一刻も早く君に会いたいからだよ、わかるね。でもマズイ事に彼女はある組織から狙われてて奴らに捕まった可能性が高い…そこで君にも少し協力してもらいたいんだよ。』

『なんだって！』

眠気でよく聞いて無かったが清美が誘拐されたかも知れないという事は理解出来た。