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一方、清美と貴史は別府に戻る為、電車で九州を目指していた。
空路、海路では到着場所が限定されてしまうからだ。
清美は山口県までは電車を使い、そこからは高速バスを使って別府を目指す事にした。
清美は自分が狙われる理由が何なのか薄々気付いていた…
父親が事故に遭う数日前、清美にどこかの鍵を手渡していた。幼い頃はそれが何の鍵かはわからなかったが、恐らくどこかの貸し金庫の鍵だろうと思った。そこにはKDS側にとって致命的な何か(多分闇帳簿の類だろう)があるに違いない。彼らはそれを狙っているはず…
しかし清美はその鍵をKDSに渡してもいいと思った。
事件の真相さえ解ればそれでいい…
人の手に渡ったとはいえ父親が創立した会社だ、出来れば存続して欲しいとさえ思っている。更に言うなら鍵を持っている事で貴史に危険が及ぶ事だけは絶対にしたくない。
とにかく今は鍵を手に入れる事だ…
隣で健やかに寝ている貴史の顔を眺めながら清美は別府への到着を待った…
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