~暗雲~

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その頃… とあるビルの会議室で数名の男達が会議を行っていた。 『やはりあの娘が持っているんだな?』 昔スポーツでもやっていたのか、かなり体格のいい大柄な男が重い空気の中で口を開いた… 『恐らくな。親の方は持っていないだろう…遺品の中で会社関係の物は全て買い取った。それにこの会社を離れる以上持っていても何の役にもたたんよ。』 もう60歳近いであろうその男は確信しているような感じで言い放った 『問題はどうやってアレを手に入れるかだ…娘をさらって奪うか、家に忍び込むか…』 いかにも悪そうな男が真剣な表情で言った。 『笠木、早まった行動は慎んでくれ、お前は思考が単純過ぎる。表沙汰になって困るのは私達の方なのだぞ。』 笠木と呼ばれた男は60近い男に諭されていた。 『わかってますよ社長。冗談ですよ、冗談。』 そう言いながらも笠木の目は笑っていなかった… 『わかればいい。笠木、お前はあの娘の学校、その周辺の情報を集めてくれ。どんな些細な事でもいい、しかしくれぐれも…』 『わかってますよ、慎重に…でしょ。』 笠木は社長がいい終わる前にそう言って部屋を出て行った…
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