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『矢田君、清美さんの気持ちに答えてあげるんでしょ?』
ここ最近麻衣子はずっとこの調子である。パンドロ事件で清美に相談を受けた彼女は清美の貴史に対する想いが痛い程伝わっていた…だからひとごとに思えないのだろう
『ま、まずはお友達から…』
オドオドした声で貴史はそう言うと麻衣子の表情を伺う…
『ナニソレ?男でしょ?清美さんタイプじゃないの?』
貴史は暫く考えてから恐る恐る答える…
『そんな事はないよ、目はクリッとしてるし髪もロングだし…性格も悪くなさそうだけど…ちょっとやり過ぎるとこあるけど…』
お母さんに怒られてる子供の様な表情で麻衣子の問いに答える貴史…端からみている安倍拓也、広也(安倍総合病院の院長の息子達)はゲラゲラ笑いながら写メ取ってる始末…
『じゃあいいじゃない。全くハッキリしないなあ。』
貴史は『貴女キャラ変わりましたね…』と心の中で呟いた。
『と、とにかく…帰って来てから2人でいろいろ話し合ってだな…徐々に距離を縮めていってから…』
『いってから?』
麻衣子は腕を組み指をトントンしながら貴史を見下している…きっと貴史は取り調べを受ける容疑者の心境だろう
『俺から付き合ってくれって言う』
これは先程迄のオドオドした感じではなくハッキリとした口調だった。麻衣子もようやく少し納得したように
『うん、わかった。』
とだけ言い、席に着いた…
貴史は冷や汗を拭いメールを送信した。
『?メールだ』
安倍拓也は携帯を開くと貴史からのメールだった…恐る恐るクリックすると…
-選べ
携帯が粉々になる。
フォトフォルダのデータを消去する-
拓也と広也はテクテクと貴史の元に行き、目の前でデータを消去した…
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