運んで動くは修羅の会!    ~"リアル"リアル鬼ごっこ~

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  「おいおい、ちったぁヤル気だせよ。」 ダラケるみんなにゆっくり近づいて、心もとないことを言ってみる。 「ふん…あんたはいいわよねー。テントの中でマイク相手に喋ってればいいだけなんだから。」 「…まーくんズルい」 そう。 2人の言う通り、俺は運動会自体には参加しないのだ。 だって女の子と一緒に徒競走なんてしても勝ちは見えてるし、逆に全校生徒の面前で負けなんかしたら即、富士の樹海でアーッ!もんだ。 その旨を校長に伝えたところ、俺は放送係を命ぜられた。 「10月にもなってこの暑さ…ヤル気なんて出ませんわ…」 「ヤル気あるのはちーちゃんと京香さんくらいですよぅ」 京香さんとちとせを見ると、2人でストレッチを始めていた。 まぁこの2人はアクティブが取り柄だからな。 「ったく… よし、しょうがない。秘密だったんだが、俺がお前らにいいことを教えてやろう。」 「いいこと?」 「実はな、俺の親父達がいる大学の最先端研究機関が、ここ最近新たな研究結果を発表したんだ。それが『運動会における体重減少の法則』。 この法則によれば運動会や体育祭に積極的に参加した女子は、そうでない女子より平均3.52㎏の体重減が見込めてだな…」 「あっれぇ!!私なんだか急にヤル気が沸いてきたなー!!」 「…み な ぎ っ て き た ! 」 「五十嵐家の辞書に妥協という字は載ってませんわ!」 「さぁみなさん!開会式です!早く並ぶですよ!!」 「「「「オーー!!!!」」」」 … うん、 まったく、なんて清々しいほど現金な奴ら。 ちなみに皆さんお分かりだろうが、さっきの話は勿論空想、妄言、戯れ言。完全に俺の作り話である。  
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