3人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
「殺してもいいですか」
そう言って群がってくるのは、目を爛々と光らせた複数の男達。
刃物を持つ者、鉄パイプを持つ者、バッドを持つ者…がゾロゾロと私の周囲を取り囲む。
その男達の中に、包丁を手に持ち、爛々と私を見つめている男がいた。
へっぴり腰で身体は震えているのに、目だけは執念を表すかのように爛々としていた。
ゾッとしながらもその男に近付き、刃先を私の胸に近付けて、言った。
「いいよ。殺して?」
男はカッと目を見開き、涙を流しながら言った。
「愛してるって言ってくれ」
私は首を振って言う。
「愛してたわ。」
いつの間にか私も泣いてた。周囲の男達もいなくなり、2人きりの闇の中。
「過去形じゃ嫌だ」とだだっ子のように声を張り上げる。
私はただ、静かに言った。
「過去形よ。愛してたわ。でも今は、貴方よりも愛してる人がいるの。」
「両想いなのか」
最初のコメントを投稿しよう!