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コーヒーを右手に持った先生が戻ってきた。
「心配するな!どこへも行かないから。」
とそう言い、心配そうに見つめる私の頭を撫でた。
「切り札だって掴んだし!色々計画してたのに、薫と亜季にメチャクチャにされたよ。」
そういって私の隣に座った。
先生の気持がわかって、今までの不安や辛さが涙となって一気に溢れ出した。
そんな私に先生は…
「泣くのはまだ早いぞ!これから昨日のことを色々反省して、たっぷと泣いてもらわないとな。」
…と恐ろしい宣告をした。
そして私の肩を掴み、ソファーに押し倒した。
先生は宣告通りに私を責め続けた。
本当にたっぷりっと泣かされて…
もう二度と外でお酒は飲みませんと、約束させられた。
何度も何度も謝って、声も涙も枯れてきた頃ようやく開放された。
「亜季愛してる…。お前以外はいらない。だから俺を信じて待ってて欲しい。」
彼の言葉が胸に響いて、枯れたはずの涙がまた溢れていった。
悪魔のようなイジワルな先生が…
私を幸せに導く天使のように見えた。
そして、薫さんから電話があった。
昨日は本当に申し訳なかったといった。
私の記憶が無くなった後、先生にイヤというほど叱られたと、電話口で興奮しながらそういっていた。
「でもあれはね、亜季ちゃんへの嫌がらせじゃなくて、麗華さんに光一を諦めてほしくてね。でも、返って亜季ちゃんを傷つける感じになっちゃって本当にゴメンナサイ!」
薫さんじゃないみたいに、素直にそう謝った。
私は薫さんの気持も分かったし、全然怒ってませんから気にしないでくださいと、そう伝えた。
「でも、あの時の光一は本当怖かったわ。よくあんなのと付き合えるわね?あんなドSな奴亜季ちゃんにしかきっと無理よ!」
と言い残して電話が切れた。
本当に怖いもんね先生は…。
そう思いながら隣で本を読んでいる先生を見た。
「なんだその顔は?俺に何か言いたそうだな。」
「別に何も…」
先生は本を置くと私の腕を掴み、自分の方に引き寄せた。
「俺に秘密なんて100年早いぞ!さぁお嬢さん全て話してもらおうか?」
薫さ~ん!
やっぱり私にも先生の相手は無理みたいです。
こんな毎日じゃぁ本当に身体がもちませんから!!
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