リアルファイト

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今日も疲れた。  だが、もうじき家に着く。やはり自宅が一番落ち着く。そして、何と言ってもゲームができる。そう、俺は三度の飯よりゲームが好きな、いわゆるゲーマーだ。最近はもっぱらロープレだが、今日は久々にアクションでもやるか。  部屋に入るや否や、バッグをほっぽり出しテレビのスイッチを入れる。ゲームソフトの並ぶラックの奥の方に手を伸ばす。うっすらホコリ被ったソフトをチョイス。三年程前に発売された戦国武将が活躍するありがちな時代劇アクションだ。一度クリアして以来やってなかったので懐かしく思えた。そして、ゲームを起動させた途端信じられないことが起こった。 スイッチを入れたと同時に部屋中真っ暗になった。ブレイカーでも落ちたのかと思った瞬間全ての感覚が奪われた。フワッと宙に浮いている様な感じだ。そして感覚が少しずつ戻ってきた。が、体が重い。視界が戻ると、事態を一発で把握できた。俺は部屋にはいなかった。 辺りは枯れた草が生い茂る草原だった。俺の頭の中には思考がキレイにまとまっていた。  間違いなくゲームの中だ。もちろんコントローラーを持っているはずもなく、俺の手にはやたらと長い日本刀が握らされていた。そして、甲冑(かっちゅう)を身に付けている。 これからどうするべきか座って考えようとしたが、体が動かない。それどころか、自分の意思とは異なった動きをし始めた。誰かが俺を操作している。敵もいないのに刀をブンブン振り回している。これ俺もよくやるわ。とか思っていると、急に走りだした。 敵のお出ましだ。前から三人程足軽が現れた。やっぱ斬るんだよな。案の定ザクザク斬り始めた。足軽は、第一敵キャラだけあって申し分のない弱さを誇っていた。二振り程で倒れた。悪い気分はしない。爽快感さえあった。俺も悪いヤツだなと思っていると急に方向転換し、今までと逆の方向に走り出した。 嫌な予感がした。そっちには確か敵のアジトがあり、そこの親玉はしょっぱなでは太刀打ち出来ない強さだったはず。行ってみたいのは分かるけどさぁ、辞めとけ! 俺の想いは通じるはずもなく、赤い旗を掲げた塊が現れた。有無も言わさず突っ込んだ。 痛ぇっ! 俺の体に矢が突き刺さる。たまらん痛い。でも突っ込む。斬っても次々湧いて出てくる。ヘトヘトになりながら親玉らしき大男の前まで来た所で気を失った。 部屋にいた。今日はもう寝る。
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