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その集団を視界に入れた瞬間、引き金を引いていた指が止まった。ゾンビが迫ってきて、なんか残念な音が機械から出て、ゲームオーバーの文字。
こんな偶然ありますか。
あるんだから、仕方ない。
鬱陶しげに視線を向けた先には、2年の同じクラスだった石倉と澤田っていうのと、あとよく知らねー男が居て、その傍に数日前までメールをしていたサポーター麻美チャンとその友人、梨佳チャンの姿。
女の子が1人足りないって?
それを俺に言わせるわけですか?大体、わかるだろうよ。
「……なんでいんだよ」
つまらなそうな顔で両腕を組んで、よく知らねー男の隣に立っているのは、ここ最近の俺の悩みのタネ。片岡紗英。
向こうがこっちに気付く前に、なぜか焦って機械の後ろに隠れて背を向けた。俯いて、右手の甲で口元を覆う。バクバク、と心臓が一気に速まった。ゲームの中で出会うゾンビなんか目じゃないくらいたちが悪い。
前に思いっきり拒絶されたショックな気持ちが、ふつふつと湧き上がってきたけれど、それ以上に、その姿を見たことに、会えたことに喜んでいる自分が居て、なんか微妙な気分になった。
……ていうか。
隣に立ってる、なんかチャラそうな男、誰だよ。ていうか。なんだ、そのミニスカ。
無駄に足出してんじゃねーよ。隣の男、ガン見してんじゃねーか。
化粧落としたらひでー顔なのは知ってるけど、それ、気合入りすぎじゃね?誰に見せるつもりだよ
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