信じてほしいなら、

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 わかってるのかわかってないのか。  それでも1人で何か鬱々と考え込んでいるより、麻美と話して楽になっていたのも事実で。ありがと、と言うと照れたように笑っていた。  嬉しいこと、悲しいこと、辛いこと、麻美みたいにちゃんと素直に出せたらいいなと思う。  南のことも、岡本のことも、結局あたしはハッキリと、つらいとか悲しいとか悔しいとか麻美や梨佳に言ったことがない。2人がなんとなく感じとってくれている。  麻美みたいな子は、同姓に嫌われるタイプなんだろう。けど、きっとそれは自分には出来ないからうらやましいって気持ちからくるんだろうな、なんて家に帰っていく麻美の華奢な後姿を見ながら、ぼんやりと考えた。  家の前で麻美を見送った後、夜の暗い歩道で南に掴まれた手を見下ろす。  へらへら笑っていた不真面目な顔なんかじゃなくって、何かを必死に伝えようとしている真剣な顔。  気管辺りが、ぎゅうっと掴まれたような変な感覚。息が少し苦しい。  ……アイツのことは考えないようにしよう。  考えたって、苛々するだけだし。  頭の中に浮かんだ像を振り払うように緩く頭を振ってから、ため息をついた。
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