信じてほしいなら、

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 次の日。朝起きると、麻美からメールが来ていて、朝っぱらから絵文字だらけのテンションの高いメールにちょっとうんざりした。  内容は26日に、昨日言っていた岡本似の何とか君を呼ぶから、みんなで遊ぼうとのこと。みんなっていうのは、はっきりと書いていなかったけど、麻美と石倉、あと梨佳と澤田のことだと思う。  切り替え早すぎるでしょ、と携帯に向かって突っ込む。  けど、なんかその言い方だとアタシがまだ南を引きずっているみたいで、思わず顔を顰めてしまった。まだっていう以前に引きずるような関係じゃないし!  正直、ぜんっぜんノリ気じゃない。けど、麻美のことだからすでにその岡本似のなんとか君に約束取り付けてるんだろう。そう思うと、これも付き合いか、とため息をついて了承のメールを送った。  あーあ……今日は何の予定も無いし、どっさり与えられた春休みの宿題でもしようかな。  かといって家に篭るのも嫌だったから、テスト勉強のときに利用するスタバに行くことにした。  ティシャツとパーカーにデニムのスカート。適当な服に適当なメイク。髪も巻くのが面倒だったから、そのままにして耳の下辺りで2つに束ねる。  鞄の中に宿題のプリントやら参考書を突っ込んで、家を出た。  春休みの真昼間。もしかしたら混んでいて座る席が無いかもしれない。まあ、それならそれで違う場所に行けばいいか。なんて考えながら、賑やかな通りを歩く。  ゲラゲラと笑いながら横を通り過ぎていくチャラそうな男どもに、狭い道を広がって歩くんじゃねえよ、と言ってやりたかったけど、流石にそれは女としてどうよ、と思ったからやめた。  そうやって、だらだらとスタバに向かっていると、ふと、何かが脳裏を掠める。
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