信じてほしいなら、

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 突如、店の奥で始まった修羅場に店内の好奇の視線が集中する。  これって傍から見たら、あたしもこの子らと同じように南を取り合っている1人にカウントされんのかな。  ユウカネーは志織っていう子から視線を外すと、またそのカエルくらいなら睨んだだけで仕留めそうな鋭い視線をこっちに向けてきた。だから、なんであたしを睨むわけ?関係ないんだけど。 「ちょっと気に掛けられたくらいで、調子に乗ってんじゃねーよ。なんなのあんた? 自分が南君に気に入られてるみたいな言い方して、自意識過剰なんじゃないの」  だから、調子にも乗ってないし、自意識過剰にもなってないっつってんでしょ。なんなの、この面倒臭い女。  ていうか、南、お前、何様だ。  どこぞの学園ドラマのモテ男かっつーの。なに?あたしはありきたりな展開みたいに、この女に嫉妬でリンチとかイジメとかに合わされんの?冗談じゃない 「だから乗ってないっつてんでしょ。あんな男、興味なんてないから。女なら誰でもいいみたいな、あんな男ありえないから。あんたもさあ、気付いたら? 何番目の女かわかったもんじゃな」  わかったもんじゃない。  そう言い終わる前にあたしの言葉は、甘い匂いと冷たい液体に遮られる。  バシャッと音がして、頭から顔にかけて、ひんやりとした感触がした。髪がべたべたする。つつつ、と頬を伝うチョコレートモカフラペチーノ。  視線を上げて、ユウカネーを見上げると片手に空になったカップを持って、怒りか興奮か何かで顔を赤くさせていた。周りの客がざわつく。  どうやら、あたしはテーブルの上に置いていたチョコレートモカフラペチーノを頭から掛けられたらしい。  3分の2くらい残っていたから結構な量。ぼたぼたと髪から伝った甘い匂いの液体が、気に入っていたピンク色のパーカーに落ちる。
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