信じてほしいなら、

13/27
前へ
/416ページ
次へ
 持っていたタオルを思いっきりテーブルに投げつけたら、水分を含んだタオルは、バシン!!と激しい音を立てた。隣で様子を伺っていた男の店員が、目を丸くさせて、怯えるように肩を狭めている。  肩で息をしながら、乱暴に椅子から腰を上げて、向かい側の椅子に置いてあった鞄を掴んだ。  床やテーブルに散ったチョコレートモカフラペチーノを片付ける気にもならなくて、っていうか、あたしが片付ける必要なくない!?  隣で呆然としている店員に、オサワガセシマシタ、とかなりの棒読みで言ってから、ガツガツと大股で店から出た。  甘ったるい液体で濡れた髪が乾いてきて、ガビガビになる。茶色いチョコレート色の染みが出来たパーカーとティシャツ。顔を思いっきりタオルで拭いたせいでアイラインとかがよれたひっどい顔。まわりが、おかしなものを見るような目でこっちを見てくる。  俯いたまま、足を急かして家へと一直線。  何が本気よ、何が。  そう言った矢先に、これかよ。アンタが言う本気ってやつが、もうすでに2人もいるんじゃない。  会いたくもないけど、もし、今度またあのムカつく顔を見つけたら、一発殴らなきゃ気がすまない。  なんでアンタのせいであたしがこんな目に遭わなきゃなんないのよ!!
/416ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2699人が本棚に入れています
本棚に追加