信じてほしいなら、

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 ゲーム機の近くで、ため息をついていると、隣でひとりで空回りしていた三井が話しかけてくる。ていうか、香水の匂いがキツイ。どんだけつけてんのよ、アンタ。近寄んな。 「あ、なんか疲れた感じ? なんか飲み物でも買ってこよっかあ?」  気が利くじゃねーか、三井。 「ホント? ありがと」 「何か飲みたいものとかあるー?」 「あー……100%のりんごジュースがいい」 「うおー、やべ! ロハスだロハス! 紗英ちゃんマジセレブ!」  ロハスの意味わかって使ってんのか、お前。  無駄なハイテンションにイラつきながら、ゲーセンに設置されている自動販売機へと向かっていく三井の後姿を見送る。  見えなくなってから、よしと頷いてその場を離れた。このゲーセンは中学のときから何度も来たことがある。だから、自動販売機に何が置いてないのかくらい大体わかる。もちろん、100%のりんごジュースなんて無い。  しばらく戻ってきませんように、と思いながらゲーセンの隅にあるUFOキャッチャーのコーナーに足を向ける。なんか大して動いてないのにやけに疲れた。  カツカツ、とミュールのヒールを鳴らせながら、ゆっくり歩く。  辺りには色んな種類のUFOキャッチャー。アイスとかお菓子とかケーキとかそういう奴もあって、こんなの取ろうとする奴いんの?と疑問に思う。普通に買った方が安いと思うけど。絶対1回で取れないし。  なんとなく辺りを眺めていると、隅の方にやたらぎゅうぎゅうにぬいぐるみが詰まっている機械があった。見たこともないキャラクター。ブタなのかクマなのかよくわかんないブサイクな人形。  有名キャラクターのUFOキャッチャーは色んな人に取られて、もうすぐなくなりそう。人気ないんだろうな。これだけ余ってたら、直に撤去されそう。  ガラスに手をついて、じっと中に詰まっているぬいぐるみを見る。ブサイクだけど、憎めない感じがして悪くないと思うけど、金を払ってまで欲しくはない。ああ、だから残ってるのか。
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