信じてほしいなら、

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 ブサイクなくせに、くりくりとした黒くて丸い目で悲しげに見つめ返してきているような気がする。  なんとなく1回くらい挑戦してあげようかなと思っていると、あたしが手を置いていた隣に誰かが手を置いた。 「これ、取んの?」 「…………」  話しかけられて、思わず顔を声の聞こえてきた方向へ向けてしまう。視界に声の持ち主を映して、みるみる眉間に皺が寄るのがわかる。 「よ、久しぶり……って、なんだよ、その嫌そうな顔」  そこにはぎこちなく笑うバカ南がいた。ワックスで毛先を跳ねさせていた髪型じゃなくて、なんか、サラッとした真っ直ぐな鬱陶しそうな、陰気そうな髪型の。  何、なにもなかったみたいに軽がるしく声掛けてきてんのよ。  ムカつく顔を睨んでから、返事をせずにすぐに視線を逸らした。  近くにいたくない。そう思って、踵を返してその場を離れようとしたら、手首を掴まれた。強い力ではないけど、ぐいっと引っ張られて、振り返る。 「……触んないで」  掴まれた手を振り払って、嫌悪を込めて睨むと南は一瞬目を見開いてから、目を伏せた。なにそれ。なにその、傷つきましたって顔。バカじゃないの。 「……なんなの、アンタ。二度と目の前に現れるなって言ったでしょ。なんでいんのよ」  どっか行ってよ、と冷めた声で言い放つと南は少しだけ顔を上げて、何か言おうとしたけど、結局口を噤んで何も言わずにこっちを見てくる。  苛々する。なんなのよ。なんであたしばっかり苛々してんの。あんたのせいで良くないことばっかり。  ギロリ、と睨む。憎い。 「あんたが行かないなら、あたしが行く。どいてよ」  そう言うと南は一度視線を下げて、ため息をついた後、また視線をあたしへと向けてくる。焦れったく何度か口を少し開いたり閉じたりを繰り返してから、ようやくはっきりと声を出した。
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